5年前の今頃、僕は三重からはるばる福岡に来ていた。目的はもちろん、次の日に控えた九大工学部の編入学試験に受験するためだ。
九州という初めての地、僕は胸が踊った。(正確に述べると幼い頃門司港に一瞬だけ降り立ったことがあるがすぐ山口に向かったためあまり記憶がない。)
博多で降りて空港線に乗り換え、すぐやってきた電車に乗り込んだ。新幹線ではずっと勉強していたから、地下鉄に乗り換えてからは気分転換のために本を読んでいた。
しばらく集中して読書にふけっていると、「終点:姪浜駅」という音声が流れた。僕が乗っていた電車は、予定していた「筑前前原行き」ではなく「姪浜行き」だったのだ。
目的地は九大学研都市駅。乗り換えの必要があった。プラットフォームを移動しようとしたところ、駅の外側の景色がふと目に入った。今までずっと地下を走っていたから、その景色はとても新鮮なものに感じられた。
その景色を見たとき僕は、なんとなく、この地で永住することを悟った。どことなく懐かしく、そして大都会にもすぐにアクセスできる。これほど素晴らしい地域は他にあるだろうか。
本来の目的である編入学試験を終え、幸運にも、僕は学科首席で工学部物質化学工学科に編入することになる。
でもその時の旅の一番素晴らしかったところは、編入学試験を無事終えられたことではなかった。
福岡市西区という、永住の地を見つけれたことだったのだ。
僕はこの地で、命尽きるまで、子どもたちの教育に従事していきたいと思う。
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